第39章

藤原美佳のことは気にせず、樋口浅子は店内に入ると、さっと店内を見回し、すでに店の外で彼女の目を引いていたネックレスを指さした。

「すみません、このネックレスを見せていただけますか」樋口浅子は店員に小声で言った。

店員が返事をする前に、耳障りでうるさい声がまた響いた。

「樋口浅子、そんなにお金持ってるの?まずは自分の分を弁えてから選んだ方がいいんじゃない?」

藤原美佳が近づいてきて、意地悪そうな笑みを浮かべながら言った。

店員は困惑した表情で藤原美佳を見て、それから樋口浅子を見て、どうすればいいか分からない様子だった。

「お願いします。気に入ったら買いますので」

樋口浅子は藤原美...

ログインして続きを読む